The Last Party観劇報告
宙組バウ公演「Last Partyーフィッツジェラルド最後の一日」
見てきました。米国のバブル期にあたる1920年代に時代の寵児として、
もてはやされたフィッツジェラルドと、その妻として自己確立が
できずに追いつめられていく妻ゼルダの物語であり、
貧しい青年時代からしゃむに名声と富を求めた青年の挫折の
物語でもあります。思い立って、見てきて良かったです。
脚本・演出(しみじみとした情感を漂わせるエピソード、
明確なテーマ、破綻がない脚本、小劇場の特性を生かした演出)
も良かったのですが、何よりも驚いたのは
タニちゃん(スコット・フィッツジェラルド役大和悠河)
が素晴らしく色気のある男役さんに成長していたことですね。
主役が出ずっぱりなので、主役に魅力がなければ
かなり退屈な芝居になったと思います(派手な見せ場もないし、
ロスト・ジェネレーションへのオマージュとフィッツジェラルドの
芸術家としての苦悩というかなり内省的な題材ですから)。
一方で、主役に光るモノがあれば、2時間
「そうそう!ごひいきさんのこんな表情が
見たかったのよ〜」がてんこ盛り、美味しいシーン
満載のお芝居です(さすが、植田景子先生!女性が萌えるツボを
心得ていらっしゃる!植田作品は、前作「シニョール・ドンファン」でも
大空祐飛君演じるスティーブ(我が儘な女優を陰ながら
支えるマネージャー、植田先生がお気に入りというキャラ)も、
もろ少女漫画の渋い脇役という感じで、少女漫画チックな
萌えキャラにお詳しいと見た。笑)。
タニちゃんは、とにかくその所作の美しさ、
にじみ出る色気に圧倒されました。
すっきりとやせて、のばされた手足の佇まいの
本当に美しいこと!全ての動作が、ゆったりと
そして馥郁としていましたね。また、スコットの衣装が私的には全部◎
(衣装コーディネートも植田先生ですね)、トレンチコートも
アスコットタイも、タキシードのはだけ具合も、ガウン姿も!!
一方、娘役さん達のお衣装はそれほどそそられなかったのが、
残念(植田先生、ご自分のお洋服にも割と無頓着なタイプ?)
良くも悪くも「軽み」がタニちゃんの芝居の特性だと思うのですが、
その軽みが暗くなりがちな話に救いを与える一方で
やはり重い芝居にならないのは、まだ仕方ないでしょうかね。
フィッツジェラルドの屈折した想いを表現するには、
まだ若い!という印象が。でも、屈折しあがきながらも
前向きに生きていこうというスコットの側面、
人間同士が紡ぎ出す関係への優しい眼差しという
スコットの陽の部分は芸風からにじみ出ていたと思います。
ゼルダを愛し続けるしみじみとした情感、「がんばれ、狐」と
巨大な像と戦う小さな狐の絵本に自分を重ねるシーンは、
タニちゃんらしい持ち味がでていて、感動的でした
一方で、前半の青年時代、名声や金を求める渇望感・屈折感、
挫折感の表現は、やはりちょっと物足りなかったかな
(こちらは、卑屈な役を演じさせたら宝塚一!と勝手に
命名しているユウヒ君がどう演じるか、かなり楽しみ♪)。
しかし、繊細な美しさを持った男役さんと対峙する娘役さんは
つくづく大変だな、と思いました。あのかなみちゃんですらも、
タニちゃんと並ぶと「お顔が大きい…」と(ごめん)。
(亜季ねーさんも)。後半は、ゼルダの切なさを表す
かなみちゃんの演技が素晴らしくてそんなことも
忘れましたが、しかし前半はちょっと見ていて辛かった。
とにかく、とにかく、タニちゃんが男の色気がにじむ
役者さんに成長していたのに驚かされた舞台でした。
まだ、大劇場で人と絡みむ芝居では魅力全開とまではいえない
かもしれませんが、ピンでたってあれだけ美しく
決まればもういうことなし!目の保養をさせて頂きました♪
あと、脇の宙組若手もはつらつと演じて、丁寧に舞台をこなしていて
良かったですね(あひちゃんも存在感を示し、美郷さん、
亜季ねーさんはさすがのうまさ!)。
舞台が終わった後、「スコットの作品が読みたくなっちゃった」
「『夜はやさし』が有名なのかな?」というような会話があちらこちらで
聞けたのがなんだか嬉しかったですね。私も、無性にスコット・
フィッツジェラルドの世界に浸りたくなったので。
お芝居を見終って、その登場人物の本を読みたくなるって、
なんだか素敵ではありませんか?
2004.11.1




